「同じ現場に入っているのに、手元に残る額が思ったより少ない」——内装の職人なら、一度は感じたことがあるはずです。

その主な原因は、腕でも仕事量でもなく、仕事が自分に届くまでの“通り道”にあります。元請けから何段階も下請けを経るほど、各段階で手数料(中間マージン)が差し引かれ、末端の職人の手取りは薄くなります。

本稿では、なぜ手取りが減るのかという構造を解きほぐし、直接依頼で中間マージンを外して手取りを増やす仕組み、そして適正な単価と支払い条件の実務を、職人目線で解説します。

なぜ手取りが減るのか(多重下請けの構造)

中間マージンとは、元請け〜下請けの多重構造の各段階で差し引かれる手数料であり、末端の職人の手取りを圧縮する最大の要因です。

飲食店の内装工事では、しばしば「施主 → 元請け(内装会社)→ 一次下請け → 二次下請け(職人)」という流れで仕事が下りてきます。各段階が利益と管理費を乗せる(あるいは差し引く)ため、施主が払った金額と、実際に手を動かす職人の受け取り額には大きな差が生まれます。

さらに、段階が増えるほど次のような弊害も起きます。

  • 情報が薄まる:現場の要望や納まりの意図が、伝言ゲームで職人まで正確に届かない。
  • 責任範囲が曖昧になる:誰の指示で、どこまでが自分の担当かが不明瞭になりやすい。
  • 支払いが遅く・不透明になる:支払いサイトが段階ごとに延び、条件が見えにくい。

直接依頼で変わること

直接依頼とは、元請けや複数の下請けを介さず、依頼元(施主やマッチングの運営)と職人が直接つながって施工を請ける形です。中間の段階が減るほど、そこで差し引かれていた手数料が圧縮され、同じ工事費でも職人の手取りが厚くなります。

手取り以外にも、直接依頼には実務上のメリットがあります。

  • 要望がダイレクトに伝わる:施主や現場の意図を直接確認でき、手戻りが減る。
  • 担当範囲を自分で確認できる:着手前に「どこからどこまで」を直接すり合わせられる。
  • 信頼が次の依頼につながる:良い仕事が直接評価され、継続案件になりやすい。

テンポス川口の「職人登録」は、この直接依頼を前提に、飲食店の内装現場と職人を元請けを通さない直接契約でつなぐ仕組みです。

適正な単価の出し方(人工・材工・出来高)

中間マージンを外せても、単価の出し方が曖昧だと手取りは安定しません。内装の見積りは、次の3つの考え方を軸に組み立てます(金額は工程・地域・難易度で変わるため、ここでは考え方を示します)。

  • 人工(にんく):1人×1日あたりの作業量を単位にする。時間の読みやすい工程向け。
  • 材工(ざいこう):材料費と施工費を含めて見積もる方式。「材工共」か「材料別途」かを必ず明示する。
  • 出来高:「◯㎡いくら」など成果物を単位にする。数量が明確な工程向け。

見積り時は、本体の施工費に加えて交通費・駐車場・産廃処分・応援の人工など“抜けやすい費目”を洗い出しておくことが、手取りを守るポイントです。

支払い条件とトラブル回避

手取りは「単価 × 確実に支払われること」で決まります。直接依頼でも、支払い条件を曖昧にすると回収リスクが残ります。着手前に次を書面(メール可)で合意しておきましょう。

  1. 支払いサイト:締め日と支払日(例:月末締め・翌月末払い など)を明確化。
  2. 金額の内訳:人工/材工の別、追加が出た場合の単価をあらかじめ確認。
  3. 追加工事の扱い:その場の口頭で流さず、「追加工事」として都度金額を提示・合意。
  4. 担当範囲:前後工程との取り合い、施主支給品の扱いを明記。

“言った・言わない”を避けるだけで、回収トラブルの大半は防げます。

【比較表】多重下請け vs 直接依頼

同じ工事でも、仕事の“通り道”が変われば手取りも関係性も変わります。

比較項目多重下請け(元請け経由)直接依頼
中間マージン各段階で差し引かれる中間段階が少なく圧縮される
手取り薄くなりやすい厚くなりやすい
要望・情報の伝達伝言で薄まりやすい直接確認でき手戻りが減る
支払いサイトが延びがち・不透明条件を直接合意できる
関係性の継続元請け都合に左右される評価が直接次の依頼に
職人に求められること指示に従う単価提示・範囲確認など自分での段取り

継続的に選ばれる職人になる

直接依頼は「手取りが増える」だけでなく、良い仕事がそのまま評価につながる働き方です。継続的に選ばれるために、次を意識してください。

  • 納まりと清掃:仕上がりの丁寧さと現場をきれいに返す姿勢が、最も効く信頼材料。
  • 報告・連絡:進捗や追加の相談を早めに共有し、判断を仰ぐ。
  • 範囲の明確さ:できること・できないことを正直に伝えることが、結果的に信頼になる。

テンポス川口の「職人登録」は、サイトでの登録と面談は無料(案件が決まった場合のみ手数料)。得意な工程だけ・スポットでの参加でOKで、元請けを通さない直接依頼につながります。まずは登録フォームから、対応工程とエリアをお知らせください。

職人登録フォームへ →

よくある質問(職人向け)

直接依頼だと、本当に手取りは増えますか?
中間段階が減るぶん、そこで差し引かれていた手数料が圧縮されます。工事費が同じでも職人の受け取りは厚くなりやすい一方、単価提示や範囲確認はご自身で行う必要があります。
支払いは確実に受け取れますか?
着手前に支払いサイト(締め・支払日)と金額の内訳を書面で合意しておくことが確実性のカギです。追加分はその都度「追加工事」として提示してください。
営業や交渉が苦手でも大丈夫ですか?
はい。マッチングを通じて条件に合う案件が紹介されるため、飛び込み営業は不要です。得意な工程だけの参加でも問題ありません。
登録に費用はかかりますか?
サイトでの登録と面談は無料です。案件が決まった場合に手数料がかかります(詳しくは面談でご説明します)。