10〜15坪の小さな飲食店で、少ない人数でも回せる店にするには、業態に合わせて厨房と客席の広さを配分し、お客さまとスタッフの動きが重ならない動線をつくることが基本です。開店前に、席数・通路の幅・機器の大きさを図面と実寸で確かめておけば、開店後の「狭くて回らない」を防げます。
店舗レイアウトとは、客席・厨房・通路などを、営業しやすいように配置する計画のことです。厨房を広く取れば作業はしやすくなりますが、そのぶん席数は減ります。どちらに寄せるかは、業態とメニューで決まります。
本稿では、厨房の広さと席数の目安、少人数で回せる動線、厨房の配置の種類、保健所・消防の確認点、図面と実寸での確かめ方までを実務目線で解説します。
厨房の広さと席数の目安
厨房比率とは、店全体の床面積のうち厨房が占める割合のことです。決まった基準はなく、業態によって大きく変わります。一般的な目安としては、まず店舗面積の30%を厨房と考え、カフェやバーなら20%程度まで減らせるか、専門的な機器が必要な店やメニュー・調理工程・従業員が多い店では40%程度まで広げる必要があるか、を検討する考え方があります。席数は、一般的な店で1坪あたり2.0席、詰めた大衆型で2.5〜2.7席、ゆったり型で1.5〜1.8席がよく使われる目安です。
この目安で、10〜15坪の店を計算すると次のとおりです。
| 店舗の広さ | 厨房の広さ(20%/30%/40%) | 席数の目安(1坪あたり1.5/2.0/2.7席) | 向いている例 |
|---|---|---|---|
| 10坪(約33㎡) | 約2坪/約3坪/約4坪 | 約15席/約20席/約27席 | カウンター中心のバー・カフェ・小さな居酒屋 |
| 12坪(約40㎡) | 約2.4坪/約3.6坪/約4.8坪 | 約18席/約24席/約32席 | カウンター+テーブル数卓の小料理屋・バル |
| 15坪(約50㎡) | 約3坪/約4.5坪/約6坪 | 約23席/約30席/約41席 | テーブル席中心のレストラン・カフェ・居酒屋 |
※ 1坪は約3.3㎡です。上の表は目安からの計算例で、厨房を広く取るほど実際の席数は少なくなります。物件の形、柱の位置、排気ダクトや給排水の位置によっても変わるため、最終的には図面で確かめてください。
少人数で回せる動線のつくり方
動線とは、店の中で人が移動する経路のことです。入口から客席へのお客さまの動きと、厨房から客席へのスタッフの動きが交差すると、ぶつかったり待たせたりする原因になります。少人数で回すには、この2つを重ねないことと、スタッフの往復を減らすことが大切です。
- 料理の受け渡し場所に作業を集める:デシャップとは、厨房でできた料理を客席に出すために受け渡す場所のことです。デシャップの近くにレジや下げた食器の置き場をまとめると、少ない歩数で用事が済みます。
- 通路の幅を確保する:人が1人通るには約60cm、ストレスなくすれ違うには約100cmが目安です。客席の通路も厨房の中も、すれ違う場所かどうかで幅を決めます。席の後ろを人が通る場合は、イスを引いた状態でも通れる幅を見込みます。
- トイレの位置に気を配る:客席からトイレの出入口が正面に見えないよう、目隠しの壁や向きを工夫します。
厨房の配置の種類
厨房の機器の並べ方は、調理の流れと提供のしかたで決めます。
- オープン厨房:客席と厨房が向かい合う配置です。カウンター越しに料理を出し、食器を下げられるため、少人数の店に向いています。
- I型(一列型):機器を壁沿いに一列に並べる配置です。間口が狭く奥に長い物件に向き、作業の流れがまっすぐになるため、1人での作業がしやすくなります。
- L型・U型:機器をL字やU字に並べる配置です。その場で向きを変えるだけで複数の機器に手が届くため、メニューが多い店に向いています。
保健所・消防・建築の確認点
飲食店の営業許可を受けるには、保健所の施設の基準を満たす必要があります。国の基準では、食品を汚染から守るため、作業の区分に応じて間仕切りなどで必要な区画をすることや、従業者用の流水式の手洗い設備を必要な数だけ備えることなどが定められています(作業の経路や洗浄消毒などで衛生管理ができていれば、区画をしなくてよい場合もあります。出典:e-Gov法令検索「食品衛生法施行規則」別表第十九・2026年10月14日確認)。細かな基準は都道府県などの条例で決まるため、地域によって違います。
- 消防:避難の経路や誘導灯、消火器などの決まりは、店の広さ・階・建物の用途によって変わります。
- 建築(内装制限):火を使う厨房がある店では、壁や天井に燃えにくい材料を使うよう求められる場合があります。建物の構造やスプリンクラーなどの設備で扱いが変わります。
レイアウトが固まったら、工事の前に図面を持って保健所と消防署に相談してください。詳しくは「保健所・消防の事前相談」で解説しています。
図面と実寸で確かめる手順
平面図だけで決めると、高さや通路の狭さに気づけないことがあります。次の順で確かめましょう。
- 採寸して平面図をつくる:壁から壁までの寸法、柱、窓、出入口、給排水や排気の位置を測る。
- 実際の家具・機器の大きさを当てはめる:買う予定のテーブル・イス・厨房機器の寸法を図面に入れる。
- 立体にして確かめる:客席に座ったときの視線や、カウンターの高さ、圧迫感を確かめる。
- 現場で実寸を再現して歩く:床にテープを貼ってテーブルや通路の幅を再現し、実際に歩いてみる。
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テンポス川口飲食内装資材専門館では、店頭でスタッフと一緒に店舗レイアウトの3D図面を無料でつくれます(予約制・その場で完成。店頭の画面で見る形で、データや印刷物のお渡しはしていません。正式な図面ではありません)。図面や採寸のメモ、写真をお持ちいただくと、より実際に近い形になります。
あわせて、飲食店向けの中古内装資材(イス・テーブル・照明・建具・古材など)の購入や、必要な工程だけの職人の紹介(依頼者さまの手数料はかからず、見積もりも無料・契約とお支払いは職人と直接)もご相談いただけます。中古の厨房機器と食器は扱っていません。
