壁紙の剥がれ、ドアの建付け、棚の追加、照明の増設といった飲食店の小さな修理も、内容に合った職人を選び、写真や寸法を先に伝えれば単発で頼めます。小さな工事は工務店などに断られることもありますが、頼み方を工夫すれば引き受けてもらいやすくなります。

ただし、電気・給水・ガスなど資格が必要な修理もあり、営業中の店ならではの注意点もあります。

本稿では、小さな修理が断られやすい理由と頼みやすくする工夫、修理ごとに必要な資格と依頼先、営業中の注意点、費用の内訳、緊急時にまずやることまでを実務目線で解説します。

小さな修理が断られやすい理由と、頼みやすくする工夫

店舗の小修繕とは、建物全体に関わる大きな改修ではなく、営業の中で生じた内装や設備の部分的な傷みや不具合を直すことです。断られやすいいちばんの理由は、移動や準備の手間に対して作業が小さいことです。短い作業でも、移動時間や出張費などの負担は変わらないため、見積もりと予算感が合わないことがあります。

  1. 直したい箇所をまとめて頼む:「ドアの調整だけ」ではなく、ドアの調整・壁紙の補修・棚の追加など、同じ職人(大工・内装など)で対応できる作業をまとめて頼む。
  2. 写真と寸法を先に送る:不具合の箇所の全体と寄りの写真、型番や周りの様子を送る。壁紙や床の部分補修は、油汚れや日焼けで元の部分の色が変わっていると、新しい材料との継ぎ目が目立つことがあります。照明をつけた状態の写真も送ると、部分補修で足りるか、張り替えたほうがよいかの判断がしやすくなります。
  3. 作業日の候補に幅を持たせる:日時を1つに限定せず、いくつか候補を出すと、職人の予定に組み込んでもらいやすくなります。

修理の種類ごとの資格と、一般的な依頼先

修理の内容によっては法律で資格が必要なため、不具合の種類に合わせて依頼先を選ぶ必要があります。資格のない人が電気・給水・ガスの工事をすると法令違反になるうえ、火災や水漏れなどの事故につながります。

修理の種類作業の例資格・要件一般的な依頼先
壁紙・床の補修壁紙(クロス)の一部張り替え、床タイルの補修資格は不要(※1)内装業者、クロス職人
ドア・棚の修理ドアの建付け調整、棚の追加、カウンターの削り資格は不要大工、建具店
照明・コンセントコンセントの増設、スイッチの移設、照明の配線電気工事士電気工事店
水回り水栓(蛇口)の交換、パッキンの交換、給水管の延長・移設単独水栓の取替えやパッキン交換など、配管を伴わない「軽微な変更」は資格不要。給水管の工事は水道事業者が指定した「指定給水装置工事事業者」水道設備業者
ガスガス栓の増設、ガス機器の接続都市ガス:ガス会社またはその指定工事店/LPガス:液化石油ガス設備士ガス会社、LPガス販売店

※1 壁や天井の材料は、建物や部屋の用途によって燃えにくい材料を使う決まり(内装制限・建築基準法)があります。また、飲食店で使うカーテンやじゅうたん・床敷物などは、消防法により防炎性能のある「防炎物品」を使う必要があります(出典:東京消防庁「防炎規制の対象となる防火対象物等」・2026年10月9日確認)。
※ 給水の「軽微な変更」の範囲は水道法施行規則第13条によります(出典:国土交通省「指定給水装置工事事業者制度」・2026年10月9日確認)。
※ テナントビルでは、ビル側が指定した業者でないと工事できない箇所があります。工事の前に管理会社へ確認してください。資格の線引きは「DIYと職人をどう組み合わせる?」でも詳しく解説しています。

営業中の店で修理するときの注意点

営業を続けながら修理するときは、お客さまへの配慮と衛生管理が欠かせません。

  • 作業の時間帯を選ぶ:音やほこり、塗料・接着剤のにおいが客席に届かないよう、営業前、中休み、定休日などに作業してもらう。
  • 養生をしっかり行う:養生とは、作業する場所の周りの家具や調理器具、食材にほこりや塗料がつかないよう、シートやテープで覆って守ることです。飲食店では衛生のために特に大切です。
  • 保健所・消防署に確認する:厨房や水回りの配置を変える、部屋の区切りを変えるなどの修理は、営業許可や消防の基準に関わる場合があります。手続きが必要かどうかを、事前に保健所と消防署に問い合わせる。

小さな修理の費用の内訳

小さな修理の費用は、作業そのものの代金だけでなく、移動や準備の費用も含めた合計で考えます。内訳を知っておくと、見積もりが妥当かを判断しやすくなります。

  • 作業費:職人の作業そのものの費用。床や建具の修理では、表面をはがしてみたら下地が傷んでいた、壁の中に下地がなかった、といったことが分かり、下地の補修が追加になることがあります。事前に下地の状態についても相談しておく。
  • 出張費:現場までの交通費や駐車場代など。作業が短くてもかかる場合があります。
  • 材料費:壁紙、木材、ビス、接着剤、スイッチプレートなど。自分で材料を用意する場合はかかりませんが、加工費が別にかかることがあります。
  • 処分費:はがした壁紙や、交換した古い照明・建具などの処分。
  • 時間外の割増:深夜・早朝・休業日の作業を頼むと、割増料金がかかることがあります。

金額は、地域・建物・傷み具合・時期によって大きく変わります。

緊急時にまずやること(水漏れ・排水の詰まり・停電)

水漏れ、排水のあふれ、停電などが起きたら、業者を探す前に被害を広げないための安全確保を優先します。以下は一般的な初動です。

  • 水漏れ:止水栓や元栓を閉めて水を止める。電気機器が濡れているときは、安全に操作できる場合に分電盤でその回路を切り、濡れた機器には触らない。テナントビルでは、ビル側の指定業者や保険の決まりがあることがあるため、まず管理会社・オーナーに連絡する。それ以外の店舗は、地域の水道局が案内している指定工事店などに連絡する。
  • 排水の詰まり・あふれ:シンクや厨房機器の使用をすぐに止め、無理に水を流さない。グリストラップや排水口に詰まりがないか見て、管理会社や排水管の清掃業者に連絡する。
  • 停電・ブレーカーが落ちた:周りの店も停電していないかを確かめる。店内だけなら、使っていた機器のスイッチを切り、分電盤を確認する。原因が分からないときや漏電が疑われるときは無理に操作せず、電気工事店や電力会社に相談する(高圧で受電している建物では、建物の電気主任技術者や管理会社へ)。

小さな修理を相談するなら

テンポス川口飲食内装資材専門館では、店舗の小さな修理を引き受ける職人のご紹介と、中古で買った家具・什器などの修理のご相談を受け付けています。お問い合わせフォームのご用件で「修理したい」を選び、症状をお書きください。写真は3枚まで添付できます。なお、水漏れなどの緊急の修理は受け付けていません。

職人は、飲食店の内装に関わるすべての職種の個人職人を全国でご紹介でき、「壁紙の補修だけ」「ドアの調整だけ」など必要な工程だけの紹介も可能です。依頼者さまの手数料はかからず、見積もりも無料。契約とお支払いは、依頼者さまと職人の直接です。

修理を相談する → 職人紹介のしくみを見る →

よくある質問(店舗の修理)

壁紙の一部の剥がれやドアの建付けなど、ごく小さな修理でも頼めますか?
はい。工務店などに断られた場合でも、必要な工程だけを引き受ける個人の職人に、単発で頼むことができます。同じ職人で対応できる箇所をまとめて頼むと、引き受けてもらいやすくなります。
写真で相談できますか?
はい。不具合の箇所の全体と寄りの写真を先に送ると、状態が伝わりやすく、話が早く進みます。当店のお問い合わせフォームでは、ご用件「修理したい」で写真を3枚まで添付できます。
営業を休まず、夜間や休業日に修理してもらえますか?
職人の予定が合えば可能です。ただし、夜間・早朝・休業日の作業は割増料金がかかったり、建物によって作業音に制限があったりするため、事前に相談してください。
自分で買った照明の取り付けやコンセントの増設だけを頼めますか?
はい。コンセントの増設や照明の配線は電気工事士の資格が必要な作業なので、材料は自分で用意し、取り付けだけを電気工事士に頼めます。